323 1つで使い回される「ne」 Il n’a jamais rien fait d’autre que des additions.

その他(王子さま)

お得なフレーズ

今回のフレーズに否定語の「ne」は1つだけですが、2つあってもおかしくない表現です。 

この短いフレーズを覚えることで、覚えられることがいくつもあるので、お得です! 

このフレーズの場所と背景

  • では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Il n’a jamais rien fait d’autre que des additions.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第7章の後半にある王子さまのセリフです。 

「il n’a jamais rien fait d’autre que des additions」

「il」は「彼」「それ」、「n’a」は、否定語「ne」の省略形「n’」と、「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。 

「ne ~ jamais」は「決して~ない」という意味で、「ne ~ rien」は「何も~ない」という意味で、両方とも否定表現です。 

「fait」は「~を作る」「~をする」という意味の動詞「faire」の過去分詞です。 

「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「d’autre」は前置詞の「de」の省略形「d’」と、「別の」「他の」を意味する「autre」が合わさったものです。 

そして「autre que ~」という形で「~以外の」「~を除いて」「~とは異なる」という意味になります。 

「des」は不定冠詞の複数形、「additions」は「足し算」「(レストランなどの)勘定書」などの意味の女性名詞「addition」の複数形です。 

背景を見てみると

生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答え、2人は険悪な状況になってしまいます。 

王子さまは花の味方をするのですが、それどころではない男性は聞く耳を持ちません。 

今回のフレーズのある段落では、王子さまがある星で出会った他の男性について語ることで、語り手の男性が忘れかけていたことを思い出させようとしています。 

2回分の「ne」

前述通り、「ne ~ jamais」は「決して~ない」、「ne ~ rien」は「何も~ない」という意味で、両方とも否定表現です。 

ただし「ne ~ jamais」に関しては、「決して~ない」または「絶対に~ない」という強調語です。 

もちろん「ne ~ jamais」だけでも否定表現として使われますが、「ne ~ rien(何も~ない)」と合わせると、強調の意味が強くなります。 

「ne ~ jamais」と「ne ~ rien」を一緒に使う時は、「ne」は1つだけであること、語順は「jamais rien」になること、発音は強調語である「jamais」にアクセントが置かれることなどがポイントです。 

ここでの「que」

そしてこちらも前述通り、「autre que ~」は「~以外の」「~を除いて」「~とは異なる」という意味です。 

このシリーズの第64回でご紹介している通り、「que」を見ると、関係代名詞や接続詞などを疑うかもしれませんが、この場合は「autre que ~」の一部なので、覚えておけば他を疑わずにすみます。 

なお、ここでの「des additions」は、「足し算」というよりは「計算」の意味で使われています。 

「彼」とは?

ところで、お話しのもう少し後で、忙しそうに計算ばかりしている男性の話しが出てきます。 

このフレーズでの「il(彼)」とは、この男性のことです。 

なのでこのフレーズは、「彼(この男性)は、計算以外は決して何もしなかった」ということです。 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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