310 「R」が大事な理由! Elles se rassurent comme elles peuvent.

動詞

聞きにくい「R」

日本語話者にとって、フランス語の「R」はもっとも発音しにくい音の1つですが、ただ単に発音が難しいだけではなく、聞き取りに関しても慣れが必要な音の代表格です。 

今回のフレーズには、「R」のあるなしでかなり意味が変わってしまう単語があります。 

あらかじめ違いを知っているだけで注意しやすくなるので、ぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Elles se rassurent comme elles peuvent.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第7章の前半にある王子さまのセリフです。 

「elles se rassurent comme elles peuvent」

「elles」は「彼女たち」「それら」、「rassurent」は「(人を)安心させる」という意味の「rassurer」の活用形(現在形)ですが、再帰代名詞の「se」を伴なうことで代名動詞になっており、「(人が)安心する」という意味になります。 

再帰代名詞や代名動詞については、このシリーズの第140回でまとめていますので、よろしければ参照してください。 

ここでの「comme」は「~ように」「~のような」という意味の延長線上にある使い方で、節(小さなフレーズ)を伴なうものです。 

この後にある「elles」は「彼女たち」「それら」と「~できる」という意味の「pouvoir」の活用形(現在形)である「peuvent」を伴なっています。 

「comme elles peuvent」で「(彼女たちが)できる限り」という意味になります。 

背景を見てみると

生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答えてしまいます。 

挙句の果てには「花のトゲなんて何の役にも立たないし、ただ単に意地悪なだけだ」と言い放ってしまいます。 

それに対し王子さまは強く反発し、花はか弱くて(意地悪とは程遠い)無邪気だと主張します。 

今回のフレーズは、こうした王子さまの主張の一部です。 

ここでの「elles」

まず、今回のフレーズに2回登場する「elles」について、確認しておきます。 

「elles」は3人称代名詞複数女性形ですが、それは背景にある通り「fleur(花)」という女性名詞が複数形になっているためです。 

つまりここでの「elles」とは、「les fleurs」ということなので、このフレーズ全体は「花はできる限り自分自身を安心させる」という意味になります。 

ちなみに、ここでの話題は「花のトゲの有用性」についてなので、「花は自分のトゲで身を守っていられると思っている」というニュアンスが含まれています。 

「R」で意味が変わる

さて、冒頭で触れた「R」のあるなしでかなり意味が変わってしまう単語とは、「rassurer」です。 

この単語の元になっているのは「assurer(確かにする/保険をかける)」で、これに「re」がついた形が「rassurer(安心させる)」なのです。 

「assurer」が母音から始まるので、「re」の「e」は省略されています。 

結果、「R」がついただけで、かなり意味が変わっていますね? 

なお「re」というのは接頭辞と呼ばれるもので、元の意味に「再び」や「強化」のニュアンスを加えます。 

意味の違いのまとめ

そしてさらに、今回のフレーズでは前述通り、再帰代名詞がついた代名動詞になっています。 

「assurer」と「rassurer」で意味が変わるように、「s’assurer」と「se rassurer」でも変わります。 

(「s’assurer」は「se」の省略形である「s’」と「assurer」が合わさったものです) 

「assurer」「rassurer」「s’assurer」「se rassurer」の代表的な意味を表にまとめます。 

assurer 確かにする
保険をかける 
s’assurer 確認する
保険をかける 
rassurer 安心させる se rassurer 安心する 
意味の違いのまとめ

それぞれの例文

でもこれだと違いが分かりにくいので、例文もご紹介します。 

  • assurer:J’ai assuré ma voiture.(車に保険をかけた) 
  • rassurer:J’ai rassuré les enfants.(子供たちを安心させた) 
  • s’assurer:Il s’est assuré contre les maladies.(彼は病気に備えて保険に入った) 
  • se rassurer:Il s’est rassuré quand il a vu sa mère.(彼は母親を見て安心した) 

対象の違い

ちなみに「assurer」と「s’assurer」には、両方とも「保険をかける」という意味がありますが、「assurer」の例文「J’ai assuré ma voiture.」では、保険をかける対象は「車」なのに対し、「s’assurer」の例文「Je me suis assuré contre les maladies.」では、保険をかける対象は「自分」です。 

再帰代名詞を「自分に」や「自分を」と訳すのは、こうした違いによるものです。 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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