2つの「de la」
今回のフレーズには「部分冠詞」と呼ばれ、英語には存在しない「de la」があります。
でもこのフレーズに「de la」は2つありますよね?
実はもう1つの「de la」は部分冠詞ではありません。
簡単な見分け方をご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「c’est de la pure méchanceté de la part des fleurs !」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第7章の前半にあります。
第7章の2つ目の会話部分にあるフレーズで、語り手の男性のセリフの一部です。
「c’est de la pure méchanceté de la part des fleurs」
「c’est」は「ce」の省略形「c’」と「être」の活用形「est」が合わさってできています。
次の「de la」が部分冠詞なので、後ほど詳しくご紹介します。
「pure」は形容詞「pur」の女性形です。
この形容詞は、修飾する対象である名詞の前につく場合と後ろにつく場合で意味が変わります。
ここでは名詞「méchanceté」の前についているので、(事柄が)「単なる」「まったくの」という意味になります。
もしも名詞の後ろにつくなら、(モノ・事柄が)「純粋な」「混じりけのない」という意味になります。
「méchanceté」は女性名詞で、「意地の悪さ」「悪意」「意地悪な言動」という意味です。
次の「de」は前置詞、「la」は定冠詞単数女性形、「part」は女性名詞で「(モノの)部分」「分け前」「役割」などの意味があります。
ただし「de la part de ~」という形で「~の側からの」という意味になり、その場合の「part」は「~の側」という意味です。
「des」は「de la part de ~」の2つ目の「de」、つまり「de la part de ~」の1部なのですが、次の「fleurs」が複数なので、複数形になっています。
「fleurs」は「花」という意味の女性名詞「fleur」の複数形です。
背景を見てみると
飛行機の修理がうまくいかず焦る語り手の男性ですが、王子さまはそんな事情はお構いなしに、羊と花の関係を聞いてきます。
王子さまは、羊は花のトゲさえも食べるのかを確認しますが、男性は飛行機にかかりきりなので、何も考えずに「食べる」と答えてしまいます。
王子さまは大変驚き、花のトゲは何の役に立つのかを繰り返し聞きます。
今回のフレーズは、命に係わる状況で心に余裕のない男性による回答の後半部分です。
フレーズの全体は「Les épines, ça ne sert à rien, c’est de la pure méchanceté de la part des fleurs !」です。
フレーズ全体の意味
部分冠詞の前に、このフレーズ全体の意味を確認しておきます。
前回(このシリーズの第307回)で扱った、このフレーズの前半部分「Les épines, ça ne sert à rien,」は、「トゲなんて何の役にも立たない」という意味でした。
今回扱う「c’est de la pure méchanceté de la part des fleurs !」は、「花による単なる意地悪だ!」ということになります。
部分冠詞とは?
フレーズ全体の意味を把握したところで、部分冠詞について考えます。
先ほど「de la pure méchanceté」の「de la」が、部分冠詞だとご紹介しました。
フランス語には「特定できるあるもの」に使う定冠詞と、「一般的な何か」に使う不定冠詞があります。
ここまでは英語とほぼ同じなのですが、英語にはない部分冠詞とは、「数えられない名詞」につくものです。
そもそも数えられないので複数形はありませんが、名詞の性によって変わり、また、名詞が母音などから始まる場合にも形が変わります。
男性名詞 | 女性名詞 | 母音の前 |
du | de la | de l’ |
数えられない名詞とは?
部分冠詞を使う「数えられない名詞」には、次の3種類があります。
- 食べ物・飲み物の名詞
- 感情を表す名詞
- その他の名詞
1.食べ物・飲み物の名詞
「食べ物・飲み物の名詞」の例としては、次のようなものがあります。
- 男性名詞:du vin(ワイン)du poison(魚)
- 女性名詞:de la farine de blé(小麦粉)de la viande(肉)
- 母音から始まる名詞:de l’eau(水)
2.感情を表す名詞
「感情を表す名詞」の例としては、次のようなものがあります。
- 男性名詞:du bonheur(幸せ)
- 女性名詞:de la passion(情熱)
- 母音から始まる名詞:de l’espoir(希望)
今回のフレーズの「méchanceté(意地の悪さ/悪意)」は、2番の「感情を表す名詞」に当たります。
3.その他の名詞
「その他の名詞」の例としては、次のようなものがあります。
- 男性名詞:du travail(仕事)
- 女性名詞:de la lumière(光)
- 母音から始まる名詞:de l’argent(お金)
「pur」と「pure」
ところで今回のフレーズでは、「méchanceté(意地の悪さ/悪意)」が感情を表す女性名詞なので、女性形の部分冠詞「de la」と形容詞「pur」の女性形「pure」が使われています。
先ほど、形容詞「pur」は、名詞の前につく場合と後ろにつく場合で意味が変わり、前につくなら(事柄が)「単なる」「まったくの」という意味に、後ろにつくなら(モノ・事柄が)「純粋な」「混じりけのない」という意味だとご紹介しました。
日本語の「ピュア」は、「pur」が名詞の後ろについた場合の意味に近いですね。
繊維の名前も!
部分冠詞を使うのは、大抵は「食べ物・飲み物名詞」か「感情を表す名詞」なので、ある程度数をこなせば迷うことは少なくなります。
ただし「数えられない名詞」のうち、3番の「その他」に関しては慣れも必要なのですが、繊維の名前もこのカテゴリーに入りますので、ご紹介しておきます。
「コットン100%」などの言い方は、フランス語では次のようになります。
- 男性名詞:du coton pur(コットン100%)du lin pur(リネン100%)
- 女性名詞:de la laine pure(ウール100%)de la soie pure(シルク100%)
- 母音から始まる名詞:de l’angora pur(アンゴラ100%)
「ピュア」に注意!
「100%」という場合、男性名詞には「pur」、女性名詞には「pure」がつきます。
日本語では「ピュア・コットン」などのように言いますが、フランス語だと「du coton pur」のように「pur」を後ろにつけないと、「コットン100%」というつもりが「単なるコットン」「ただのコットン」という意味になってしまうので、気をつけたいですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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