よく聞くかも!
今回のフレーズには、和訳するとほぼ意味がなくなってしまう可能性がある動詞があります。
フランス語には、意味のない形式的な主語もよく使われますが、それとはまた別の使い方です。
人によっては、口ぐせになっている場合がありますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Tu sais… quand on est tellement triste on aime les couchers de soleil…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第6章の終わりにあります。
第6章の最後から3行前にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「tu sais」
「tu」は「きみ」、「sais」は「知る」「知っている」という意味の「savoir」の活用形(現在形)です。
「quand on est tellement triste」
「quand」は疑問詞として使われる時は「いつ」という意味ですが、ここでは「?」がないので、接続詞としての使い方です。
その場合は「~する時に」「~するたびに」という意味になります。
「on」は主語としての「人」を表すのが、基本的な働きです。
特殊な人称代名詞で、「人」が誰を表すのかは、文脈によって変わります。
「私」「私たち」「あなた」「あなたたち」「彼/彼女」「彼/彼女たち」すべての意味になり得るうえ、一般的な意味での「人」「人々」になることがあります。
詳細はこのシリーズの第93回を参照してください。
「est」は、êtreの活用形(現在形)です。
「tellement」は「それほどまでに」という意味ですが、強調として「実に」「本当に」という意味でも使われます。
「triste」は「悲しんでいる」「さびしい」「悲しそうな」といった意味の形容詞です。
「on aime les couchers de soleil」
「on」は前述通り、「aime」は「(人を)愛する」「(人が)好きである」「(モノ/コトを)好む」という意味の「aimer」の活用形(現在形)です。
「les」は定冠詞複数形、「couchers」は「就寝」「寝ること」「(太陽や月が)沈むこと」を意味する男性名詞「coucher」の複数形です。
「de」は前置詞、「soleil」は「太陽」「日光」「日差し」を意味する男性名詞です。
「coucher de soleil」で「日没」という意味になります。
背景を見てみると
王子さまは日没を見るのが好きなので男性を誘いましたが、男性に「(日没まではまだ時間があるから)待たなきゃ」と言われたことで、我に返ります。
ごく小さな自分の星にいると、いつでも日没を見られるので、地球上にいることを忘れて誘ってしまったのでした。
星にいた当時、王子さまは1日に43回も日没を見た日があったと打ち明けます。
今回のフレーズでは、その理由について語っています。
意味が消える?
さて今回のフレーズにある3つの動詞のうち、「和訳するとほぼ意味がなくなってしまう可能性がある動詞」とは、「tu sais」の「sais」です。
この動詞の原形の「savoir」には「知る」「知っている」という意味があり、今回のフレーズでの使い方なら、「tu sais」は「ねえ、知ってる?」のように訳すのが妥当だと思います。
でも冒頭で触れた通り、「tu sais」が口ぐせになっていたり、普段は口ぐせになってはいなくても、繰り返し使う心理状態になっている人がいたります。
そういう場合の「tu sais」は、ただ単に相手の関心を引くための「ねえ」になっているので、「savoir」の「知る」「知っている」という意味は消えてしまうのです。
ここでの「on」
なお、このフレーズには「on」が2回使われていますが、2回とも一般的な意味での「人」としての使い方です。
「quand on est tellement triste」で「人はあまりに悲しんでいると」、「on aime les couchers de soleil」で「(人は)日没を好む」ということです。
王子さまは一般論を言っているようで、自分が「あまりにも悲しんでいた」ということを男性に伝えたかったのですね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント