263 深く考えなくていいかも?「il s’agit」まとめ!S’il s’agit d’une brindille de radis ou de rosier, on peut la laisser pousser comme elle veut.

動詞

ポイントを押さえて覚えよう!

今回は「il s’agit」を扱います。 

フランス語独特と言われて、難しいと感じる方が多いのですが、あまり深く考えすぎない方がいい場合が多い表現です。 

その理由や、覚えるべきポイントをご紹介します! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「S’il s’agit d’une brindille de radis ou de rosier, on peut la laisser pousser comme elle veut.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第5章の中ほどにあります。 

第5章2枚目の挿絵の直前にある段落にあるフレーズで、語り手の男性の説明部分です。 

「s’il s’agit d’une brindille de radis ou de rosier」

「s’il」は「もしも」を表す「si」の省略形「s’」と人称代名詞3人称単数の「il」が合わさったものです。 

「s’agit」は再帰代名詞「se」の省略形「s’」と「agir」の活用形(現在形)「agit」が合わさった代名動詞ですが、詳細は後述します。 

「d’une」は前置詞「de」の省略形「d’」と不定冠詞女性単数の「une」が合わさったものです。 

「brindille」は女性名詞で「小枝」、「radis」は男性名詞で「ラディッシュ」「(ある種の)大根」、「rosier」は男性名詞で「バラの木」です。 

「ou」は「または」「あるいは」という意味です。 

「on peut la laisser pousser」

「on」特殊な人称代名詞で、主語としての「人」を表すのが基本的な働きです。 

詳細はこのシリーズの第93回を参照してください。 

「peut」は、「pouvoir」の3人称単数現在の活用形です。 

「pouvoir +(動詞の原形)」で、「~することができる」「~してもいい」という意味になります。 

「pouvoir」についている動詞の原形「laisser」は「~を残す」「~を放置する」「~を~に置き忘れる」「~と別れる」など、いろいろな意味で使われます。 

ただしここでは「laisser +(目的語)+(動詞の原形)」という形で、「~が~するのを放っておく」という表現になっています。 

「la」は代名詞目的格、動詞の原形部分には「pousser」が使われています。 

目的語を伴なう時は「~を押す」という意味ですが、目的語がないと「(草・歯などが)生える」「(髪が)伸びる」「(植物が)育つ」という意味になります。 

「comme elle veut」

ここでの「comme」は「~のように」「~のような」という意味です。 

「elle」は人称代名詞3人称単数、「veut」は動詞「vouloir」の活用形(現在形)です。 

人が主語で、「~を望む」「~を欲する」という意味です。 

背景を見てみると

王子さまは、自分の星のバオバブの木について話しました。 

それに関連し、語り手の男性は一般論として、植物がどのように地上に姿を現すのかを説明しています。 

地上にいる私たちには目に見えないが、土の中に植物の種は眠っていて、時が来ると目を覚まし、小さな枝を遠慮がちに伸ばします。 

今回のフレーズからは、生えたばかりの植物に対する注意点が語られます。 

代名詞について

今回のフレーズには、「il」「on」「la」「elle」という代名詞があります。 

まず、この4つについて考えます。 

「il」については、「il  s’agit」という表現の一部で、意味を持たない使い方です。 

「on」は主語になること、人であることだけが約束されている以外は、いろいろな意味になる代名詞ですが、ここでは単に「(一般的な)人」として使われています。 

「la」は直接目的、「elle」は主語になる人称代名詞ですが、この2つは同じものを指しています。 

このフレーズの中にある女性名詞、「une brindille(小枝)」が目的語として使われているのが「la」であり、主語として使われているのが「elle」です。 

内容を確認

「il s’agit」という表現を考える前に、このフレーズの他の部分の内容を確認しておきます。 

「une brindille de radis ou de rosier」で「ラディッシュやバラの木の小枝」になります。 

「on peut la laisser pousser」では「la」が「小枝」のことなので、「それ(小枝)を生えるままにしておける」に。 

「comme elle veut」の「elle」も「小枝」のことなので、「それ(小枝)の望むように」ということです。 

なお、「il s’agit」の前には省略形ではあるものの、「si」があるのでそれを加味すると、「si + une brindille de radis ou de rosier」で「もしもラディッシュやバラの木の小枝なら」になります。 

「il s’agit」について

先ほど、「il s’agit」の「il」は意味を持たないこと、「s’agit」は再帰代名詞「se」の省略形「s’」と「agir」の活用形(現在形)「agit」が合わさった代名動詞であることをご紹介しました。 

ここからは、独特だと言われる「il s’agit」について、まとめます。 

ただし結論から言ってしまうと、この表現にはほとんど意味がないことも多く(まったく意味がないわけではありません)、今回のフレーズでの使い方は、これに当たります。 

代名動詞だけど…

「s’agit」の部分は、再帰代名詞を伴なった代名動詞なので、まずは再帰代名詞を除いた動詞としての意味から見ていきます。 

この動詞の原形は「agir」で、主語が人の場合は「行動する」「振る舞う」、主語がモノの場合は「sur ~」を伴なって「~に作用する」「(薬や毒が)~に効く」という意味です。 

…というのが定番の説明で、この通り以上でも以下でもないのですが、「il s’agit」を考える場合には、この動詞「agir」の意味は忘れることをおススメします。 

他の代名動詞と違い、まったく意味が違うので、混乱の元になってしまうからです。 

このことが、「難しい」と言われる原因の1つかもしれません。 

「il s’agit de ~」

さて、前置きが大変長くなってしまいましたが、本題に入ります。 

「s’agit」という代名動詞は「il s’agit de ~」という形で使われることがほとんどです。 

意味をまとめて、1つずつご紹介します。 

  1. 「~に関することだ」 
  2. 「~が問題だ」 
  3. 「~することが重要だ」 
  4. 「~だ」 

1.「~に関することだ」 

「il s’agit de ~」が「~に関することだ」という意味になることがよくあります。 

「il s’agit de ~」だけでも使われますが、「いつ」などの意味の「quand」と一緒に「quand il s’agit de ~」になると、「~に関するときには」「~に関して言うと」という意味であることがほとんどです。 

2.「~が問題だ」 

「il s’agit de ~」が「~が問題だ」という意味になることもあります。 

「il s’agit de ~」だけで使われるので、1の「~に関することだ」との区別が難しいこともあるのですが、文脈で判断するしかありません。 

3.「~することが重要だ」 

「il s’agit de +(動詞の原形)」という形だと「~することが重要だ」という意味になります。 

この場合は動詞の原形があるかどうかを見ればわかるので、他の意味よりは見分けやすいです。 

4.「~だ」 

「il s’agit de ~」がただ単に「~だ」という意味になることもよくあります。 

これが先ほどお伝えした「ほとんど意味を持たない」使い方です。 

この場合は「il s’agit de」の部分を「c’est」に置き換えることができます。 

今回のフレーズの「il s’agit」

今回のフレーズの前半部分「s’il s’agit d’une brindille de radis ou de rosier」 がこれに当たります。 

なので「il s’agit de」の部分を「c’est」に置き換えてみると、「si c’est une brindille de radis ou de rosier」になります。 

意味も「もしもラディッシュやバラの木の小枝なら」になり、残りの部分を合わせてみても違和感がありません。 

なので今回のフレーズの全体としては、「もしもラディッシュやバラの木の小枝なら、それが望むように生えるままにしておける」ということです。 

「il s’agit」のポイント

こうして見てくると、元の動詞「agir」の「行動する」などの意味からは程遠いことがわかりますよね? 

「il s’agit」を見たら、まずは動詞の原形がついているかどうかを確認するのが、最初のポイントです。 

動詞の原形が見当たらない場合は、「il s’agit de」の部分を「c’est」に置き換えられるかどうかが、次のポイント。 

この2つだけで、上記3や4に相当するかどうかがわかります。 

そしてこの2つが当てはまらないなら、文脈から判断して、1になるのか、2になるのかを考えます。 

やっかいに思えるかもしれませんが、かなりの確率で「ほぼ意味のない4」になるので、あまり深く考えすぎずに慣れることを意識してみてくださいね!  

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました