まったく同じ?
今回のフレーズには2つの熟語が含まれているのですが、辞書などを見ると、どちらも意味は同じ。
でも本来の意味を知れば、わずかなニュアンスの違いに納得できます。
日常会話でよく使われる表現なので、ぜひ一緒に覚えたいですね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Alors je tâtonne comme ci et comme ça, tant bien que mal.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の終わりにあります。
第4章最後の段落の中ほどにあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「alors je tâtonne」
「alors」は「その時」「それなら」「それだから」など、「je」は「わたし」、
「tâtonne」は「手探りする」「暗中模索する」「試行錯誤する」を意味する「tâtonner」の活用形(現在形)です。
「comme ci et comme ça, tant bien que mal」
「comme ci et comme ça」は「どうにかこうにか」という意味です。
「tant bien que mal」は「どうにかこうにか」という意味です。
背景を見てみると
王子さまという友だちを忘れないために、語り手の男性は、あえて悲しいお話しをすることにしました。
王子さまの絵を描くために、男性は鉛筆や色鉛筆を買いそろえたものの、6歳の時にボアヘビを描いただけで、それ以降は絵を描くことを止めてしまったので、絵には自信がないようです。
今回のフレーズでは、絵に自信がない様子がそのまま語られています。
ニュアンスの違い
「comme ci et comme ça」と「tant bien que mal」は、辞書を見ると両方とも「どうにかこうにか」という意味だと書いてあることが多いです。
今回のフレーズでは、久しぶりに絵を描いてみたという語り手の男性が、苦戦している状況を表しているのですが、実は全く同じ意味ではありません。
そもそも、「comme ci et comme ça」には「こんな感じ、そんな感じ」という意味があり、それが転じて「どうにかこうにか」になっています。
また、「tant bien que mal」の「bien」は「よく」、「mal」は「悪く」で、「できる限りよく」「何とかして」という意味があり、それが転じて「どうにかこうにか」になってはいるのですが、その裏には苦労しながらも、なんとか成し遂げようという意志や努力が感じられるのです。
使い分けは?
実際にこの2つを使用する場面としては、例えば久しぶりに会った人に「元気?調子はどう?」と聞かれた時の返事として使います。
この時の「Comme ci et comme ça.」は、「まあまあだね」、「Tant bien que mal.」は「何とかやってるよ」程度の意味になるのです。
「comme ci et comme ça」だと単に否定も肯定もしない状態ですが、「tant bien que mal」には頑張ってはいるものの、必ずしも結果には結びついていない状態を表すからです。
「調子はどう?」と聞かれて、常に元気いっぱいの状態ならいいのですが、そうではない場合も、もちろんありますよね?
そういう時には、「Comme ci et comme ça.(まあまあだね)」や「Tant bien que mal.(何とかやってるよ)」と言ってみませんか?
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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