236 同じ代名詞が連続する理由! Mais, bien sûr, nous qui comprenons la vie, nous nous moquons bien des numéros !

動詞

「私たち私たち」ではない理由

今回のフレーズには同じ代名詞「nous」が連続している部分があります。 

直訳すると「私たち私たち」になってしまいますが、もちろんそうではありません。 

なぜこんな形になるのかをご説明します。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Mais, bien sûr, nous qui comprenons la vie, nous nous moquons bien des numéros !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の終わりの方にあります。 

第4章の3枚目の挿絵から3番目にある段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「mais, bien sûr」

「mais」は逆説で「しかし」「けれども」です。 

「bien sûr」は、「信頼できる」「安全な」「確かな」などを意味する形容詞「sûr」を、「よく」などの意味の副詞「bien」で強めた形です。 

「bien sûr」で、「もちろん」「確かに」を表します。 

「nous qui comprenons la vie」

「nous」は「私たち」、ここでの「qui」には「?」がないので、人を指す関係代名詞です。 

「comprenons」は「理解する」「わかる」などの意味の「comprendre」の活用形(現在形)です。 

「la」は定冠詞単数女性形、「vie」は女性名詞で「生命」「生涯」「一生」「生活」などの意味です。 

「nous nous moquons bien des numéros」

ここでは「nous(私たち)」が2つ続いていますが、これについては後述します。 

「moquons」は動詞「moquer」の活用形(現在形)ですが、意味については後述します。 

「bien」は「よく」「正しく」「非常に」「本当に」、「des」は不定冠詞複数形、「numéros」は「番号」という意味の男性名詞「numéro」の複数形です。 

背景を見てみると

語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。 

大人たちは物事の本質を見ようとせず、数字にしか興味がありません。 

そのため、子どもたちがどのように大人たちと付き合えばよいかを説明した後に、今回のフレーズに続きます。  

2回の「nous」

さて冒頭で触れた通り、「nous nous moquons bien des numéros」の部分には、違和感を感じてしまいます。 

でもこの2つの「nous」、1つ目は主語なので「私は」の意味、そしてもう1つは「再帰代名詞」と呼ばれるものです。 

再帰代名詞についてはこのシリーズの第140回で詳しくご紹介していますが、普通は訳す時に「自分に」「自分を」という意味になると覚えておけば大丈夫です。 

主語によって形が変わる、再帰代名詞の表がこちらです。 

主語 再帰代名詞 
je (j’) me (m’) 
tu te (t’) 
il/elle se (s’) 
nous nous 
vous vous 
ils/elles se (s’) 
再帰代名詞

3人称の部分が単数・複数とも「se(s’)」になる以外は、目的語の形と同じです。 

「moquer」について

先ほどは「moquer」という動詞の意味について触れませんでしたが、それは「moquer」が単独で使われることがないからです。 

常に再帰代名詞を伴なうこの動詞は、辞書などを見ると「se moquer」と書いてあります。 

「se moquer」は「~をバカにする」という意味です。 

自分たちをバカにはしていない 

なので、「nous nous moquons」の部分を考える時に、再帰代名詞の「nous」を「自分を」という意味にすると、「私たちは自分たちをバカにする」になってしまいます。 

でも残念ながら、これは間違いです。 

先ほど『普通は訳す時に「自分に」「自分を」という意味になる』とご紹介しましたが、これはあくまでも「普通の」場合です。 

「se moquer(~をバカにする)」は必ず再帰代名詞と一緒に使われる、少々特殊な動詞です。 

つまり「~をバカにする」という訳にはすでに再帰代名詞が含まれているので、再度「自分に」「自分を」という意味を加える必要がないのです。 

バカにしているのは?

そのため、バカにしているのは「nous」つまり「自分たち」ではなく、その後ろにある名詞「des numéros」ということになります。 

大人たちは数字にしか興味がないが、人生というものがわかっている我々(子どもたち)は、数字なんかバカにしている!ということですね。 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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