210 自己紹介の時の決まり文句ではない? Il l’appelle par exemple : « l’astéroïde 3251. »

その他(王子さま)

「彼の名前は~」ではない?

今回のフレーズには、自己紹介でよく使われる「Je m’appelle ~.」と同じ動詞がありますよね? 

形もそっくりなので誤解されやすいのですが、このフレーズが「彼の名前は~です」ではない理由をご説明します! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Il l’appelle par exemple : « l’astéroïde 3251. »」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の始めにあります。 

第4章の2段落目の終わりにあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「il l’appelle par exemple」

「il」は3人称代名詞単数男性形で「彼」「それ」という意味です。 

「l’appelle」は「l’」と「呼ぶ」「電話をかける」「~を~と名づける」「~を~と呼ぶ」などの意味の動詞「appeler」の活用形(現在形)「appelle」が合わさったものです。 

「l’」が何の省略形なのかは、後述します。 

「par exemple」は「例えば」という意味です。 

「l’astéroïde 3251」

「l’astéroïde」は「l’」と「astéroïde」が合わさったものです。 

「astéroïde」は男性名詞で「小惑星」という意味です。 

「3251」はもちろん数字です。 

読み方は「trois mille deux cent cinquante et un」です。 

背景を見てみると

語り手の男性は、王子さまが他の惑星から来たということを知りました。 

そしてその星は、1軒の家よりわずかに大きいだけというレベルの小惑星であることもわかりました。 

今回のフレーズのある段落では、こうした小惑星の存在や、新発見された時の名称について述べていて、直前では、惑星が見つかれば番号をつけると説明しています。 

「il」とは?

さて、まずはここで、このフレーズの主語が何を指しているのかですが、この直前にあるフレーズで「il」と呼んでいるのは、新しい惑星を発見した天文学者です。 

なので今回のフレーズでも、同じく新しい惑星を発見した天文学者のことを指しています。 

「3251」は誰の名前?

するとやはり今回のフレーズは、自己紹介の決まり文句ではないことが分かります。 

「l’astéroïde 3251」というのは、天文学者の名前ではなく、発見した小惑星の名前だからです。 

ということは、今回のフレーズの動詞「appeler」は、自己紹介の決まり文句で使われる「呼ぶ」という意味ではなく、「~を~と名づける」の方です。 

つまり「その天文学者(il)は、新しく発見した惑星を(l’)、例えば『小惑星3251』名称と名づける」という意味なのです。 

ちなみに「新しく発見した惑星を(l’)」の「l’」は、「l’appelle」についている方です。 

「l’appelle」の「l’」について

ここで「l’appelle」の「l’」が何の省略形なのかについて考えます。 

結論から言うと、これは3人称代名詞単数男性形の直接目的です。 

3人称代名詞単数の直接目的は、定冠詞単数と全く同じ形で、男性形が「le」、女性形が「la」なのですが、次の「appelle」が母音から始まるので、両方とも「l’」になります。 

日本語と同じ語順? 

日本語でここまでわかってしまえば、フランス語の原文を見ても理解しやすくなります。 

「il l’appelle」で「彼はそれを名づける」「par exemple」で「例えば」「« l’astéroïde 3251»」で「『小惑星3251』と」になります。 

なお「il l’appelle」の部分が日本語と同じ語順になっていますが、それはフランス語には「目的語が代名詞になる場合は動詞の前に来る」というルールがあるからです。 

これが「彼は小惑星を『3251』と名づける」なら、「Il appelle l’astéroïde « 3251 ».」になります。 

形状も「彼の名前は~」ではない 

ところで今回のフレーズが「彼の名前は~」ではない理由は、意味の上からだけではありません。 

そもそも「彼の名前は~」と言うなら、「il l’appelle ~」ではなく、「il s’appelle ~」になります。 

この場合の「s’」は再帰代名詞と呼ばれています。 

3人称は単数・複数とも、人称代名詞の直接目的とは違い、「se」または「s’」になります。 

もう1つの「l’」 

最後にもう1つの「l’」がある「l’astéroïde 3251」の方ですが、こちらは「astéroïde(小惑星)」が男性名詞かつ母音から始まる単語なので、定冠詞単数男性形「le」が省略形になっています。 

こうした省略形を見分けるには、何についているかということがポイントになります。 

次に来る単語が動詞なら目的語、名詞なら定冠詞ということですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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