205 母音の前の人称代名詞目的格 L’attacher ?

その他(王子さま)

フランス語ならでは?

今回のフレーズは、なんと1語だけです。 

それも「Ah !」のような間投詞ではなく、主語はないものの、動詞と目的語がそろっているので、フレーズとして機能しています。 

これが成立しているのは、フランス語ならではかもしれませんね! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「L’attacher ?」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第3章の後半にあります。 

1枚目の挿絵から7行目にあるフレーズで、王子さまのセリフです。 

「l’attacher」 

「l’attacher」は「l’」に動詞の原形「attacher」がついた形です。 

「l’」については後述しますが、「attacher」は「結びつける」「縛りつける」「結ぶ」などの意味です。 

背景を見てみると 

王子さまが他の惑星からやって来たらしいと思った語り手の男性は、興味をそそられて質問を繰り返します。 

王子さまはそうした質問には答えず、男性が描いた箱は(絵の中にいるはずの)羊の家になると言って喜んでいます。 

その言葉に気をよくした男性は、羊を結びつけるためのロープと、繋いでおくための杭もあげると言います。 

それに対する王子さまの反応が、今回のフレーズです。 

「l’」とは? 

さて前述の「l’attacher」についている「l’」ですが、結論から言うと「(絵の中にいるはずの)羊」のことです。 

なので、今回のフレーズを意訳すると「羊をつなぐ、だって?」になるのですが、この羊が3人称代名詞に置き換わっています。 

ちなみに「人称代名詞」とは言っても、3人称には「それ」「それら」という意味も含まれます。 

人称代名詞目的格 

そしてここでは「attacher(結びつける/縛りつける)」の目的語になっているので、人称代名詞の中でも主語として使われる「je」「tu」「il」などではなく、目的格という形です。 

さらに目的格にも2種類あり、「~を」と訳される直接目的と、「~に」と訳される間接目的があります。 

今回のフレーズの場合は、「羊を結びつける」という意味なので、直接目的です。 

人称代名詞目的格については、このシリーズの第124回で詳しく説明しています。 

「le」から「l’」へ 

なお目的格の人称代名詞のいくつかは、次に来る単語が母音から始まる場合、アポロストロフィをつけた省略形になります。 

今回のフレーズは「le mouton(羊)」のことなので男性名詞単数であり、元の代名詞は「le」なのですが、次の単語「attacher」が母音から始まるので省略形の「l’」になり、「attacher」と一緒に発音されます。 

表の中では目的格の部分に色をつけ、省略形の人称代名詞をカッコに入れて併記しました。 

同音異義語の存在 

最後に注意点として、3人称の直接目的は単数・複数とも、定冠詞と同じ形・発音ですが、これは同音異義語です。 

「le mouton(羊)」の「le」と、「l’attacher」の「l’」元になった「le」は、同じ単語ではないということです。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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