久々の遭遇
最近は聞き分けのよいお利口さんが増えたからなのか、お菓子売り場で泣き叫ぶ子どもは少なくなったと感じています。
フランスの少子高齢化は日本より緩やかですし、それほど子どもが減っているとも思いませんが、やはり日本同様、「お菓子買って~!」を繰り返す駄々っ子は、以前より少ないのです。
でも先日、行きつけのスーパーで、久々に見ました!
フランス語ではどのように駄々をこねるのか、ご紹介しますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je veux un mouton qui vive longtemps.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第2章の後半にあります。
3枚目の挿絵から2行目の会話部分にあり、王子さまのセリフです。
「je veux un mouton」
「je」は1人称代名詞単数で「私」、「veux」は動詞「vouloir」の活用形です。
人が主語で、「~を望む」「~を欲する」という意味です。
「un」は不定冠詞単数男性形「mouton」は「羊」を意味する男性名詞です。
「qui vive longtemps」
今回のフレーズでの「qui」は、人を表す関係代名詞です。
ただしここでは「un mouton(羊)」を表しています。
羊を擬人化しているというよりは、羊をモノ扱いせず、親しみを込めているように感じます。
なお「qui」については、このシリーズの第175回で詳しく説明しています。
「vive」は「vivre」の活用形(現在形)で、「生きる」「生活する」「~に住む」「~で暮らす」という意味です。
「longtemps」はもともと、「long(長い)」と「temps(時間)」が合わさってできた言葉で、「長い間」いう意味です。
背景を見てみると
語り手の男性は羊の絵を描きましたが、王子さまは気に入りません。
1枚目の絵の羊は病気だから、2枚目の絵の動物は羊ですらない、そして3枚目のは年をとりすぎていると言い、ダメ出しを繰り返します。
今回のフレーズは、3枚目の絵の羊について、王子さまがなぜ年寄りの羊ではいけないのかを説明している部分です。
なおこの直前にあり、「年をとりすぎている」という意味のフレーズについては、このシリーズの第8回でご紹介しています。
駄々っ子の決まり文句
さて、今回のフレーズで王子さまが言いたいのは、「長生きする羊が欲しい」ということですよね。
このフレーズをシンプルにするために、関係代名詞の「qui」以降を省略して、「Je veux un mouton.」だけにすると、「羊が欲しい」になります。
この「Je veux ~」という言い方こそ、フランスの駄々っ子の決まり文句なのです。
大人が使うと…
なので、「Je veux ~」を1回だけならまだしも、複数回繰り返して使うと、非常に子どもっぽく聞こえてしまいます。
王子さまは子どもなので、まったく問題ないのですが、大人の私たちが何度も使うのは避けた方が賢明です。
言い換える方法は?
何かを欲しい場合に「Je veux ~」以外で表現するには、いくつか方法があるのですが、ここではすでにこのシリーズでご紹介済みのものを使います。
それは第186回の「J’ai besoin d’un mouton.」です。
このフレーズは「avoir + besoin + de ~」という形で「~を必要とする」を表すので、「羊がいる」という意味になります。
今回のフレーズの「Je veux un mouton.(羊が欲しい)」とは、若干ニュアンスが異なりますが、大人が繰り返し使っても、子どもっぽくはなりません。
複数回のお願いに!
お願いごとが1回で聞き遂げられればいいですが、何回も言わないとOKしてもらえないこともありますよね?
そういう場合に、1回目は「avoir + besoin + de ~」で必要性を訴え、「Je veux ~」で強く願っていることを直接的に言ってみれば、相手の心に届くかもしれませんね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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