言葉のかたまりを知ろう!
並んだ単語を1つずつ見ている分にはわかりませんが、今回のフレーズには皮肉が隠されています。
単語を組み合わせることで、まるで日本語の熟語のように、一定の意味を持つ場合があります。
それを知ってから見ると、日本語にも存在する表現になりますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Les grandes personnes sont comme ça.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の始めの方にあります。
第4章では、トルコ人の天文学者のエピソードなどを通して、大人がいかに物事の本質を見ていないかを、語り手の男性がひとり語りをしています。
今回のフレーズは、1枚目と2枚目の挿絵の間にあります。
「les」
「les」は「ある特定のもの」を指すときに使われる、定冠詞の複数形です。
このシリーズですでにご紹介した定冠詞とともに、ここで整理しておきます。
- 「le」定冠詞単数形男性
- 「la」定冠詞単数形女性
- 「les」定冠詞複数形
ちなみに、複数になると、男女ともに同じ「les」を使います。
「grandes」
第16回ご紹介した形容詞、「grand」の女性形・複数です。
基本的には「大きい」「背が高い」ですが、「重要な」「偉大な」という意味もあります。
この言葉も、整理しておきますね。
- 「grand」男性形単数
- 「grands」男性形複数
- 「grande」女性形単数
- 「grandes」女性形複数
ここでの注意点は、定冠詞は複数になると同じなのに、形容詞は複数でも男性形・女性形の違いがあること。
面倒ですが、慣れれば口をついて出るようになります!
「personnes」
女性名詞で「人」です。
ただし「personnes」は複数形で、単数形だと「personne」です。
ここでは「personnes」が女性名詞で複数形なので、形容詞も女性形複数の「grandes」が使われています。
「les grandes personnes」を直訳すると「大きい人たち」「背が高い人たち」になりそうですが、「(一般的な)大人」の意味で使われます。
「sont」
英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称複数の活用形。
「彼ら」「彼女たち」などが主語になり、意味は「~です」に当たります。
「comme」
第13回で「感動のcomme」としてご紹介済みですが、今回の「comme」は「比較のcomme」で、「~のように」「~のような」という意味です。
「comme」は「比較のcomme」として使われることの方が多いです。
「ça」
これも第9回でご紹介済みなので、要点をまとめますね。
- 代名詞「cela」の話し言葉だが、実際にはかなり広範囲に使われている。
- 「cela」の意味は「あれ」「それ」だが、あまり距離に関係なく使われる。
- 「ça」は感情の起伏を表す場合がある。
なお、「comme ça」はとてもよく使われる表現で、「そんな(こんな)ふうに」という意味です。
一般的な使用例としては、「(手順を示しつつ)このようにやってください」の「このように」の部分ですね。
世界共通の認識?
このシリーズでは、基本的に和訳はしない方針なのですが、今回のフレーズは、いわば定型句が並んでいるので、ご参考までに紹介します。
まず、「les grandes personnes」が先ほど触れたとおり「大人」で、動詞「sont」を伴なって「大人は~です」になります。
そして「comme ça」が「そんなふうに」だともご紹介しました。
つまり「Les grandes personnes sont comme ça.」は、「大人なんてそんなもの」ということになります。
このタイプの表現は、日本語でも聞きませんか?
大人なのに大人に反抗的
今回のフレーズは、語り手の男性によるもの。
彼は、もちろん大人です。
それでも大人に対して反抗的なのは、このフレーズの直前まで、トルコ人の天文学者が着ていた服のせいで、画期的な発表をしたのに聴衆に聞いてもらえなかったことを説明したからでした。
発表はすばらしいのに、服のせいで聞いてもらえない。
大人なんてそんなものさ、というわけです。
「Les grandes personnes sont comme ça.」には、子どもの心を大切に思う、作者の大事なメッセージが隠されていたんですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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