フランス語で音読しよう!
今回のフレーズには、同じ単語が繰り返されているような部分があります。
スペル・発音ともまったく同じですが、日本語や英語に訳してしまえば、まるで韻を踏んでいるかのような、音の響きは味わえません。
フランス語で読むからこその、特権かもしれませんね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Le premier soir je me suis donc endormi sur le sable à mille milles de toute terre habitée.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第2章の始めにあります。
第2章の2段落目の最初にあるフレーズです。
「le premier soir」
「le」は定冠詞単数男性形、「premier」は「第1の」、「soir」は男性名詞で「夕方」「晩」という意味です。
「soir」が男性名詞なので「le premier」という形ですが、女性名詞なら「la première」になります。
「je me suis donc endormi」
「je」は主格の1人称単数「私」、「me」は目的格の1人称単数です。
「suis」はêtreの活用形、「donc」は、「それゆえ」「したがって」という意味です。
「endormi」は「(人を)眠らせる」という意味の動詞「endormir」の過去分詞ですが、ここでは「me」を伴なっています。
これについては、後ほど深掘りします。
「sur le sable」
「sur ~」で「~の上に」、「le」は定冠詞単数男性形、「sable」は男性名詞で「砂」という意味です。
「à mille milles de toute terre habitée」
「à」は前置詞、「mille」は「(数字の)1000」「多数」などの意味です。
「milles」は「(距離を表す単位の)マイル」を意味する「mille」の複数形です。
「de」は前置詞、「toute」は「tout」の女性形です。
ここでは「tout + 無冠詞名詞」の形で「どんな~も」「まったくの」という意味の形容詞です。
「terre」は女性名詞で、基本的な意味は「大地」「地球」なのですが、「地面」や「土」「土地」などの意味でも使われます。
なお「terre」はフレーズの途中でも先頭を大文字にして「Terre」と書かれることがあり、その場合は「(惑星の1つである)地球」という意味になります。
「habitée」は、「(人が)~に住む」という意味の動詞「habiter」の過去分詞「habité」の女性形です。
ここでは形容詞として使われており、「人の住んでいる」という意味です。
背景を見てみると
6歳の頃から周囲の大人たちに批判的だった語り手の男性ですが、成長後もその印象が覆ることはありませんでした。
飛行機の操縦士として働いていますが、6年前にサハラ砂漠のなかで飛行機が故障してしまいます。
ひとりぼっちであり、8日分の水と食料しかないという、死と隣り合わせの極限状態になりました。
今回のフレーズは、その第1日目の様子について描かれています。
「me」+「endormir」
さて、「je me suis donc endormi」の述語部分「me suis endormi」についてですが、ここでの「me」は、主語の「je」に合わせて変化しています。
本来は「se」+「endormir」のところ、「endormir」が母音から始まっているので、辞書で引くなら「s’endormir」になります。
先ほどもご紹介した通り、「endormir」は「(人を)眠らせる」という意味です。
「s’endormir」は「寝入る」という意味ですが、これを別々に覚えなくても、「se」の部分(今回のフレーズなら「me」)を「自分」と捉えることで、「自分を眠らせる」つまり「寝入る」になります。
詳細については、このシリーズの第140回でご紹介していますので、ご参考まで!
過去表現について
ところで、このシリーズでこれまでご紹介してきた過去表現と言えば、「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」という形でした。
今回のフレーズでは「suis(être)+(動詞の過去分詞)」です。
でもこの形でも、過去表現になる場合があります。
そのうちの1つが、今回のように「se」+「(動詞)」という形です。
その他は、ある程度決まった動詞です。
これに関しては、また別の機会にご紹介しますね!
「mille」と「milles」
なお、単語のところですでに触れていますが、「mille」は「(数字の)1000」「多数」などの意味、「milles」は「(距離を表す単位の)マイル」を意味です。
「mille」という言葉の単数形と複数形のように見えますが、まったく別の単語です。
フランス語だと、「milles」の語尾の「s」は発音しないので、この2つはまったく同じ発音になります。
同音異義語ということですね。
狙って使っている?
1マイルは1609メートルなので、1000マイルは1609キロメートルになりますが、「à mille milles de toute terre habitée」は「人里から途方もなく離れた」という意味で使われているのだと思います。
おまけに、ここで「mille milles」が使われているのは、音の響きのよさからではないでしょうか?
フランス語で距離を表す時に使うのはメートルやキロメートルなので、「途方もなく遠い」を言うなら、普通は1000キロを使うはずです。
「mille milles」という音に関しては、やはりフランス語で読む特権ですね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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