176 同じ単語の繰り返し? Le premier soir je me suis donc endormi sur le sable à mille milles de toute terre habitée.

その他(王子さま)

フランス語で音読しよう! 

今回のフレーズには、同じ単語が繰り返されているような部分があります。 

スペル・発音ともまったく同じですが、日本語や英語に訳してしまえば、まるで韻を踏んでいるかのような、音の響きは味わえません。 

フランス語で読むからこその、特権かもしれませんね! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Le premier soir je me suis donc endormi sur le sable à mille milles de toute terre habitée.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第2章の始めにあります。 

第2章の2段落目の最初にあるフレーズです。 

「le premier soir」 

「le」は定冠詞単数男性形、「premier」は「第1の」、「soir」は男性名詞で「夕方」「晩」という意味です。 

「soir」が男性名詞なので「le premier」という形ですが、女性名詞なら「la première」になります。 

「je me suis donc endormi」 

「je」は主格の1人称単数「私」、「me」は目的格の1人称単数です。 

「suis」はêtreの活用形、「donc」は、「それゆえ」「したがって」という意味です。 

「endormi」は「(人を)眠らせる」という意味の動詞「endormir」の過去分詞ですが、ここでは「me」を伴なっています。 

これについては、後ほど深掘りします。 

「sur le sable」 

「sur ~」で「~の上に」、「le」は定冠詞単数男性形、「sable」は男性名詞で「砂」という意味です。 

「à mille milles de toute terre habitée」 

「à」は前置詞、「mille」は「(数字の)1000」「多数」などの意味です。 

「milles」は「(距離を表す単位の)マイル」を意味する「mille」の複数形です。 

「de」は前置詞、「toute」は「tout」の女性形です。 

ここでは「tout + 無冠詞名詞」の形で「どんな~も」「まったくの」という意味の形容詞です。 

「terre」は女性名詞で、基本的な意味は「大地」「地球」なのですが、「地面」や「土」「土地」などの意味でも使われます。 

なお「terre」はフレーズの途中でも先頭を大文字にして「Terre」と書かれることがあり、その場合は「(惑星の1つである)地球」という意味になります。 

「habitée」は、「(人が)~に住む」という意味の動詞「habiter」の過去分詞「habité」の女性形です。 

ここでは形容詞として使われており、「人の住んでいる」という意味です。 

背景を見てみると 

6歳の頃から周囲の大人たちに批判的だった語り手の男性ですが、成長後もその印象が覆ることはありませんでした。 

飛行機の操縦士として働いていますが、6年前にサハラ砂漠のなかで飛行機が故障してしまいます。 

ひとりぼっちであり、8日分の水と食料しかないという、死と隣り合わせの極限状態になりました。 

今回のフレーズは、その第1日目の様子について描かれています。 

「me」+「endormir」 

さて、「je me suis donc endormi」の述語部分「me suis endormi」についてですが、ここでの「me」は、主語の「je」に合わせて変化しています。 

本来は「se」+「endormir」のところ、「endormir」が母音から始まっているので、辞書で引くなら「s’endormir」になります。 

先ほどもご紹介した通り、「endormir」は「(人を)眠らせる」という意味です。 

「s’endormir」は「寝入る」という意味ですが、これを別々に覚えなくても、「se」の部分(今回のフレーズなら「me」)を「自分」と捉えることで、「自分を眠らせる」つまり「寝入る」になります。 

詳細については、このシリーズの第140回でご紹介していますので、ご参考まで! 

過去表現について 

ところで、このシリーズでこれまでご紹介してきた過去表現と言えば、「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」という形でした。 

今回のフレーズでは「suis(être)+(動詞の過去分詞)」です。 

でもこの形でも、過去表現になる場合があります。 

そのうちの1つが、今回のように「se」+「(動詞)」という形です。 

その他は、ある程度決まった動詞です。 

これに関しては、また別の機会にご紹介しますね! 

「mille」と「milles」 

なお、単語のところですでに触れていますが、「mille」は「(数字の)1000」「多数」などの意味、「milles」は「(距離を表す単位の)マイル」を意味です。 

「mille」という言葉の単数形と複数形のように見えますが、まったく別の単語です。 

フランス語だと、「milles」の語尾の「s」は発音しないので、この2つはまったく同じ発音になります。 

同音異義語ということですね。 

狙って使っている? 

1マイルは1609メートルなので、1000マイルは1609キロメートルになりますが、「à mille milles de toute terre habitée」は「人里から途方もなく離れた」という意味で使われているのだと思います。 

おまけに、ここで「mille milles」が使われているのは、音の響きのよさからではないでしょうか? 

フランス語で距離を表す時に使うのはメートルやキロメートルなので、「途方もなく遠い」を言うなら、普通は1000キロを使うはずです。 

「mille milles」という音に関しては、やはりフランス語で読む特権ですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました