171 誤解を避ける覚え方! J’ai beaucoup vécu chez les grandes personnes.

その他(王子さま)

単純には覚えられない単語も! 

今回のフレーズは、文脈を考えないで読むと誤解しやすいかもしれません。 

いくつもの意味がある単語が並んでいるからです。 

単語によっては、「A = B」のように単純に覚えられるものもありますが、この方法が通用しない場合もある、というお話しです。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「J’ai beaucoup vécu chez les grandes personnes.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第1章の終わりの方にあります。 

3枚目の挿絵から3つ目の段落の2つ目のフレーズです。 

「j’ai beaucoup vécu」 

「j’ai」は、「わたし」を意味する1人称代名詞単数の「je」と、「avoir」の1人称単数の活用形「ai」が合わさったものです。 

ここでの「beaucoup」は動詞の強調語で、「大いに」「非常に」という意味です。 

「vécu」は「生きる」「生活する」「~に住む」「~で暮らす」などの意味の動詞「vivre」の過去分詞です。 

「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「chez les grandes personnes」 

「chez」は、「~の家に」「~の店に」「~にあっては」「~においては」といった意味で使われます。 

「les」は定冠詞複数、「grande personne」は「大人」という意味です。 

背景を見てみると 

わずか6歳で大人というものにがっかりしてしまった語り手の男性ですが、画家になる夢をあきらめて他の勉強をし、飛行機の操縦士になりました。 

今回のフレーズは、この男性が大人になってからの経験を語る場面にあり、自身もまた、周りの大人たちと同じように暮らしてきたようです。 

誤解しやすい? 

冒頭でも触れたとおり、今回のフレーズは誤解しやすいかもしれません。 

述語である「vécu」は「vivre」の過去分詞で「生きる」「生活する」「~に住む」「~で暮らす」などの意味であることはお伝えしましたが、これをどう解釈するのかでかなり変わります。 

また「chez」は、「~の家に」「~の店に」「~にあっては」「~においては」ということもご説明済みですが、これによってもかなり変わります。 

「chez」の語源 

「chez」という言葉にはフランス語らしい響きがあるからなのか、日本には「chez 〇〇」という名まえのフランス料理店が、かなり以前からありますよね? 

「chez」の語源はラテン語の「casa」で、「家」という意味です。 

スペイン語やイタリア語などでは、言語によって発音は若干異なるものの、ラテン語と同じスペル・同じ意味で使われています。 

名詞と前置詞の違い 

「家」という意味なので、ラテン語やスペイン語などの「casa」は名詞なのですが、フランス語の「chez」は前置詞です。 

この名詞と前置詞という違いが何を意味しているのかというと、「chez」の後には人を表す言葉が来るということです。 

そして「chez」は、語源である「casa(家)」よりも意味が広がっています。 

「~の家に」「~の店に」以外にも、「~にあっては」「~においては」という意味で使われることが多いのです。 

文脈から判断しよう! 

今回のフレーズでは、「生きる」「生活する」「~に住む」「~で暮らす」などの意味の動詞「vivre」のすぐ後に「chez」があるので、「~の家に住む」という意味で解釈しやすい条件になってしまっています。 

でもここで語り手の男性が言いたいのは、「大人たちとともに生活/暮らしてきた」ということ。 

「chez」の意味としては、「~にあっては」「~においては」ということです。 

「chez」を「家」として覚えてしまうのは、誤解の元になりますね! 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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