17 距離にこだわることも Là il est trop petit.

その他(王子さま)

セットで覚えよう!

「こそあど言葉」などで距離感にこだわる日本語と違い、距離に関してはかなりアバウトなことが多いのがフランス語です。 

そういう意味で今回のフレーズは少々めずらしく、関係する単語と一緒に覚えれば、距離を表す言葉で迷うことはなくなります。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の「Là il est trop petit.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の終わりにあります。 

第4章では、トルコ人の天文学者のエピソードなどを通して、大人がいかに物事の本質を見ていないかを、語り手の男性がひとり語りをしています。 

そして終盤では、男性の描いた王子さまの絵について述べています。 

今回のフレーズは、2枚あるらしい、王子さまの絵の2枚目について話している部分です。 

「là」 

「là」は「そこ」「あそこ」、基本的には離れた場所を表します。 

前回(第16回)ご紹介した、「ここ」を意味する「ici」よりも離れた場所ということです。 

なお、「là」には「a」に右肩下がりのアクセントがついていて、定冠詞の「la」とは異なりますので、注意してくださいね。 

「そこ」と「あそこ」の区別は?

通常「là」は「そこ」「あそこ」の両方をあまり区別せずに使われますし、ともすると近距離であってもあいまいにされてしまうものです。 

それでも必要に応じて、「そこ」と「あそこ」を使い分けることもあります。 

その場合、「là」は「そこ」、「là-bas」は「あそこ」です。 

「il」 

「il」は3人称代名詞単数で、「彼」を表すのですが、モノやコトを受けて「それ」の意味になることもあります。 

このフレーズでの「il」は、絵に描かれた王子さまを指しているので、厳密にはモノですね。 

ちなみに、「il」の複数形は「ils」になりますが、単独だと発音は変わりません。 

「est」 

英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称単数の活用形。 

「彼」「彼女」などが主語になり、意味は「~です」に当たります。 

このフレーズでは「il」つまり「彼」または「それ」が主語ということです。 

なお、「il」が複数形になって「ils」になると、動詞の活用形も変わるので、「est」は使えません。 

「trop」 

「trop」も、第8回でご紹介済みですが、要点をまとめます。 

「trop」は「あまりに」「非常に」の意味です。 

「trop + 形容詞(または副詞)」の形でよく使われます。 

「petit」 

基本的には「小さい」ですが、「幼い」「かわいい」という意味があります。 

また形容詞だけではなく、場合によっては名詞の「子ども」としても使われます。 

ここでは次の単語が名詞なので、形容詞です。 

また、「petit」は男性形で、女性形だと「petite」になります。 

「il est trop petit」 

今回のフレーズ「Là il est trop petit.」は、前回(第16回)ご紹介した、「ここ」を意味する「ici」から始まるフレーズの直後にあります。 

「il est trop petit」の部分だけを見ると、「それ(または彼)は小さすぎる」を意味するということは確定します。  

なぜ「Là」を使っている? 

王子さまの絵を指しているのに、場所を表す言葉を使っている理由は、前回あまりにも詳しくお話ししているので省略します。 

ここで注目したいのは、普通はあいまいにされてしまう距離感が尊重されていることです。 

お話しの中で距離感が正確なのは、語り手の男性が、対比を使って話しているからです。 

対比以外は無視される! 

前回ご紹介した通り、「ici」は「ここ」なので、前回のフレーズは「ここでの王子さまは~」と始まりました。 

今回は「Là」が「そこ」なので、今回のフレーズは「そこでの王子さまは~」と始まっているのです。 

そして、前回は「大きすぎ」ており、今回は「小さすぎ」ている絵は、両方の絵を描いた本人である、語り手の男性に気に入られていないようです。 

こうした不満を強調するかのように、絵の距離と絵の王子さまのサイズが対比されているので、作者は距離感を正確に表現する必要があったというわけですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね! 

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