162 「à +(定冠詞)」まとめ! et de m’intéresser plutôt à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire.

その他(王子さま)

有名なのは一部だけだった! 

「à」という前置詞は、「アラカルト」や「アラモード」といった日本語の外来語にも含まれています。 

こうした外来語は「à +(定冠詞 + 名詞)」の形になっているのですが、外来語を見ていれば、「アラ~」の形という認識だけですよね? 

名詞によって「à +(定冠詞)」の部分が変化するなど、想像しないのではないでしょうか。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「et de m’intéresser plutôt à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第1章の後半にあります。 

3枚目の挿絵のすぐ後にあるフレーズです。 

フレーズの全体は少々長いです: 

「Les grandes personnes m’ont conseillé de laisser de côté les dessins de serpents boas ouverts ou fermés, et de m’intéresser plutôt à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire.」 

今回扱うのは、この後半部分です。 

「et de m’intéresser」 

「et」は「そして」、「m’intéresser」は「me」の省略形「m’」と動詞の原形「intéresser」が合わさったものです。 

ただしここでの「me」の省略形「m’」は、人称代名詞目的格ではありません。 

「自分を」「自分に」と訳すことで解決する使い方で、詳細は第140回を参照してください。 

「intéresser」は「~に興味を持たせる」「~に関心を抱かせる」という意味ですが、「m’intéresser」で「(自分を)~に興味を持たせる=~に興味を持つ」「(自分を)~に関心を抱かせる=~に関心を抱く」になります。 

そして「~に興味を持つ」などの「~」は、この後に登場する前置詞の「à」以降の部分です。 

「plutôt à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire」 

「plutôt」は「むしろ」「どちらかと言えば」「かなり」という意味です。 

ここからは、「m’intéresser(~に興味を持つ/~に関心を抱く)」の「~」の部分を導く、「à」がつく部分です。 

4つありますが、名詞の性などによって、「à ~」の形が変わります。 

また、名詞にはすべて定冠詞がついていますが、場合によっては「à」との兼ね合いで形が変わります。 

ここでは名詞部分を簡単に扱い、残りは後ほどご紹介します。 

「géographie(地理)」「histoire(歴史)」「calcul(計算)」「grammaire(文法)」です。 

背景を見てみると 

ヘビが大きな獲物を丸ごと飲みこんでいる絵、およびその解説を本で読んで、6歳の少年だった語り手の男性はかなり刺激を受けたようです。 

そしてそのインスピレーションをもとに、ゾウを丸飲みしたヘビの様子を描き上げました。 

けれどその絵を見た大人たちは誰もが、どうして帽子が怖いのかと言うので、今度はヘビの中身のゾウがわかるように2枚目の絵を描きました。 

でも大人にもわかるように描いたのに、きちんと理解できる大人はいなかったようです。 

そんな大人たちの反応が、前回(第161回)と今回のフレーズです。 

主語と述語は? 

ところで、今回扱う部分には、主語と述語が欠けています。 

先ほども触れましたが、フレーズの全体は「Les grandes personnes m’ont conseillé de laisser de côté les dessins de serpents boas ouverts ou fermés, et de m’intéresser plutôt à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire.」です。 

詳細は前回(第161回)を参照していただきたいのですが、主語・述語は「les grandes personnes m’ont conseillé」で、「大人たちはわたしに~することを勧めた」という内容です。 

いろいろな「à +(定冠詞)」 

さて、今回扱う部分を見ると、「à +(定冠詞)」がさまざまな形に変化しているのがわかると思います。 

「à」に続く名詞が男性名詞なのか、女性名詞なのか、また複数なのかで変わり、さらに母音や一部のHから始まる名詞の前でも変わります。 

これをまとめると: 

  • 男性単数:au(à + le) 
  • 女性単数:à la 
  • 母音など:à l’(一部のHも含む) 
  • 名詞複数:aux 

外来語は女性名詞 

こうして見ると、「アラカルト」や「アラモード」といった外来語になっているのは、女性名詞の単数がついているということが分かります。 

今回扱う部分にある「à la géographie, à l’histoire, au calcul et à la grammaire」のうち、「géographie(地理)」「grammaire(文法)」は同じ形になっているので、この2つは女性名詞、「calcul(計算)」は男性名詞ということが分かります。 

発音しないのに音がある? 

ただし「à l’histoire」となっている「histoire(歴史)」は、これだけを見てもわかりません。 

「à l’」という形になるのは名詞の性には関係なく、母音や一部のHから始まる名詞の前です。 

Hから始まる名詞なら、すべてこの形になるわけではありません。 

今回のフレーズにある「histoire(歴史)」の「H」は「無音のH」と呼ばれ、「à l’」になりますが、これが当てはまらない名詞もあります。 

当てはまらない例は「héro(ヒーロー)」で、「有音のH」と呼ばれます。 

ただしフランス語の「H」は、「有音のH」「無音のH」に関わらず、すべて発音されません。 

発音しないのに「有音のH」と言うのもおかしな話しですが、これがフランス語。 

そして残念ながら、この2種類の「H」に関しては、一つずつ覚えるしかありません。 

ちなみに、「histoire(歴史)」は女性名詞です。 

日本語との共通点? 

最後に、今回扱う部分の冒頭にある「et(そして)」の次にある「de」についても触れておきます。 

先ほど、主語・述語は前回で扱った「les grandes personnes m’ont conseillé de ~」で、「大人たちはわたしに~することを勧めた」という内容だとお伝えしましたが、この「~」に当たる部分が前置詞の「de」によって示されています。 

つまり今回扱う部分の意味としては、「(大人たちはわたしに)どちらかと言えば、地理や歴史・計算・文法に興味を持つ(ことを勧めた)」ということになります。 

前回扱った部分では「ボアヘビの絵を放ったらかしにする」ことを勧めているので、大人からのアドバイスは、主に2種類あるわけです。 

この長いフレーズでは、今回扱う部分の主語と述語は省略されているのですが、前置詞の「de」は省略できません。 

このあたりは、日本語の助詞が省略できないということに、似ていると思っています。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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