挟むのが好き!
フランスでお弁当と言えば、バゲットにハムやチーズなどを挟んだだけのサンドウィッチであることがほとんどです。
でも今回ご紹介するのは食べ物ではなく、文法のサンドウィッチ。
フランス語って、本当に挟むのが好きな言語なんです!
これを知ることが、最終的には『星の王子さま』をフランス語で読む楽しみにもつながりますよ!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「J’ai alors beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第1章の始めにあります。
1枚目と2枚目の挿絵の間にあるフレーズです。
フレーズの全体は少々長いです:
「J’ai alors beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle et, à mon tour, j’ai réussi, avec un crayon de couleur, à tracer mon premier dessin.」
今回扱うのは、この前半部分です。
「j’ai alors beaucoup réfléchi sur」
「j’ai」は、「わたし」を意味する1人称代名詞単数の「je」と、「avoir」の1人称単数の活用形「ai」が合わさったものです。
「alors」は「その時」「それなら」「それだから」などという意味です。
ここでの「beaucoup」は動詞の強調語で、「大いに」「非常に」という意味です。
「réfléchi」は「とくと考える」という意味の動詞「réfléchir」の過去分詞です。
「réfléchir sur ~」の形で「~について熟考する」になります。
「les aventures de la jungle」
「les」は定冠詞複数形、「aventures」は「(予期しない)できごと」「事件」「冒険」などの意味の女性名詞「aventure」の複数形です。
「de」は前置詞、「la」は定冠詞単数女性形、「jungle」は女性名詞で「ジャングル」「弱肉強食の世界」です。
背景を見てみると
語り手の男性は6歳の頃に読んでいた本で、ボアという種類は大きな獲物でも丸ごと飲みこむこと、そして飲みこんだ後は消化に6ヶ月かかり、その間は眠ることを知りました。
その本には、ヘビがクマのような大きな野獣を飲みこもうとする衝撃的な挿絵もあり、少年の想像を助けることになったようです。
今回のフレーズからは、少年時代の男性が、この本の情報をもとに考えたことが語られます。
動詞についた強調語
本の内容に驚いた男性は、「弱肉強食」について考え込んだようですね。
ご紹介した通り、「réfléchir sur ~」と言っているので、「~について熟考する」ということですが、それを強調するために「beaucoup」を使っているので、「熟考に熟考を重ね」たのでしょう。
動詞はどれ?
ところで、今回扱う部分の述語、つまり動詞は「ai réfléchi」なので、「avoir +(動詞の過去分詞)」で過去のことを表しています。
男性が6歳の時に「よくよく考えた」ことを話しているのですから、もちろん過去のことです。
サンドウィッチ好き!
でも、「alors beaucoup」と2つも単語が挟まっていて、わかりにくいですよね?
この動詞の部分を抜き出すのは、慣れないと少々やっかいです。
けれど、それこそがフランス語なのです。
前回(第156回)でも、複数の単語で構成される否定語と動詞の語順についてご紹介しています。
そしてこうした語順のルールは否定語だけでなく、今回のように複数の単語で構成される動詞の時制と副詞などにも影響します。
変えられる語順も
なお今回のフレーズの場合、「alors(その時/それだから)」は、文頭に持って来ることも可能です。
文頭にするなら、「Alors, j’ai beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle」になるのですが、ごくわずかながらニュアンスが変わります。
文頭に持って来るので、当然「alors」が強調されます。
フランス語で読む楽しさ
…というのは、作者の意図するフレーズにはならないのでしょうね。
こんなささいな違いであっても、やはり「よくよく考えて」書かれているフレーズなのだと納得させられます。
ただし、こうした違いは和訳で読むと、わからないこと。
『星の王子さま』をフランス語で読むメリットを、少しでも感じていただければ嬉しいです!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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