語順で意味が変わることも!
今回のキーワードは「même」です。
少々特殊と言われるこの単語は、主に3種類の違う意味になるのですが、「形」に注目すれば、あまり難しくはありません。
ただし、同じ単語を使っても、語順が変わるだけでまったく意味が異なることもあるので、その例もお見せしますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「J’ai une autre excuse : cette grande personne peut tout comprendre, même les livres pour enfants.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第0章とも言うべき、献辞部分(「À LÉON WERTH」と書いてあるところ)の3つ目のフレーズです。
「J’ai une autre excuse」
「j’ai」は、「わたし」を意味する人称代名詞1人称単数の「je」と、英語の「have」に当たる動詞「avoir」の活用形「ai」が合わさった形です。
「une」は不定冠詞単数女性形、「autre」は、「不定冠詞 + autre + 名詞」の形で、「別の」「他の」という意味です。
「excuse」は女性名詞で「言い訳」「弁解」「口実」などの意味です。
「cette grande personne」
「cette」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」の女性形単数です。
「grande personne」は「大人」という意味です。
「peut tout comprendre」
「peut」は、「pouvoir」の3人称単数現在の活用形です。
「pouvoir +(動詞の原形)」で、「~することができる」「~してもいい」という意味になります。
「pouvoir」についている動詞の原形「comprendre」は、「理解する」「わかる」「認める」などの意味です。
ここでは、「comprendre」の目的語として「tout(すべて・全部)」がついています。
「même les livres pour enfants」
「même」については後ほど深掘りしますが、ここでの意味は「~すら」「~さえ」です。
「les」は定冠詞複数形、「livres」は「本」を意味する男性名詞「livre」の複数形です。
「pour enfants」で「子どもの(ための)」なので、この部分全体で「子どもの本でさえ」という意味になります。
背景を見てみると
『星の王子さま』のお話しを始める前に、このお話しを捧げるのが1人の大人であることについて、作者は子どもたちに謝罪し、その理由を説明しています。
第1の理由は、この大人が作者の親友であることでした。
そして今回のフレーズは、その第2の理由に当たる部分です。
作者の親友は、他の大人とは違うんだということを言いたいようですね!
「même」まとめ!
さてここからは、「même」を深掘りしていきます。
この「même」、ざっくり言うと「同じ」「まさに」「~さえ」という3つの意味があります。
形容詞・副詞・代名詞の3種類ですが、形容詞と副詞の一部には区別が難しいものもあります。
まず品詞ごとにご紹介しますが、形でだいたい判断できるようになるので、最後までお付き合いください!
形容詞の「même」
- 定冠詞(または前置詞)+ même + 名詞 :「同じ」「同じような」→ la même personne「同一人物」
- 名詞(または代名詞)+ même :「まさにそのもの」「~自身」→ moi-même「私自身」
- 名詞 + même :「~すら」「~さえ」→ les animaux mêmes「動物さえ」
副詞の「même」
- même + 名詞(または形容詞句など):「~すら」「~さえ」→ même les animaux「動物さえ」
- 副詞(または副詞句)+ même :「まさに」「ちょうど」→ ici même「まさにここ」
代名詞の「même」
- 定冠詞 + même :「同じ人」「同じもの」→ C’est ton portable ? J’ai le même.「これ、君のケータイ? 同じのを持ってる」
形で判断する「même」
例外はあるのですが、「même」は形でだいたい判断するとラクです。
ここでは、先ほどご紹介した「同じ」「まさに」「~さえ」という、代表的な意味をもとに形を見ていきます。
- 「同じ」:定冠詞 + même → la même personne「同一人物」
- 「まさに」:副詞 + même → ici même「まさにここ」
- 「~さえ」:même + 名詞、名詞 + même → même les animaux / les animaux mêmes「動物さえ」
判断上の注意
「même」が定冠詞のそばにある時は、その位置関係に注意します。
定冠詞があるのは「même」前か後か、また直前直後なのか名詞が間にあるのかで、まったく意味が変わります。
ただし、始めから区別するのは大変なので、やはり慣れも必要です。
ここでの「même」
今回のフレーズの「même」は、「même les livres」なので、「même + 名詞」の形です。
なので「本さえ」という意味です。
でもこれが、「les mêmes livres」なら、「定冠詞 + même」の形なので、「同じ本」になります。
フランス語は語順でまったく違う意味になることがあるという、典型的な例ですね!
なお「les mêmes livres」の場合は、「même」が複数形になるということもお忘れなく!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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