ネガティブ転じて歓喜に?
今回の2つのフレーズは、まったく同じ構造なのは一目瞭然ですね。
この「C’est trop ~」という言い方は、基本的に否定的な表現で使われますし、今回の両フレーズも、ネガティブなイメージのフレーズです。
でも実際の会話の中では、ポジティブな、それも極端に喜んでいる時に使われることもあります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est trop loin.」と「C’est trop lourd.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第26章の終わりの方にあります。
第26章の2枚目の挿絵のすぐ後にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「c’est trop」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「trop」は「あまりに」「非常に」の意味です。
「trop + 形容詞(または副詞)」の形でよく使われます。
「loin」
「loin」は、「遠く」という意味です。
「lourd」
「lourd」は、「重い」「重く」という意味です。
背景を見てみると
いよいよ王子さまの旅立ちの時を迎えました。
語り手の男性は、王子さまに見に来るなと言われていたのですが、ふと気づいたらいなくなっていた王子さまを追いました。
こんな段階になっても、王子さまは男性が受けるであろうショックを思って、今度はなぜ自分が、こんな方法でしか旅立てないことを説明し始めます。
今回の2つのフレーズは、続いてはいません。
まず始めのフレーズ「あまりにも遠い」と言い、そして「この身体を運ぶことはできない」と言い、2つ目のフレーズ「あまりにも重い」と言うのです。
語り手の男性は返す言葉がなく、黙ったままでした。
極端にポジティブな例
さて、冒頭で触れたとおり、この「C’est trop(あまりにも)~」という表現は、基本的に否定的になります。
今回も「loin(遠く)」「lourd(重い・重く)」がついて、ネガティブです。
でも、この表現にポジティブな形容詞や副詞がつくと、逆に極端なポジティブになるのです。
よく使われるものに、「gentil(親切な・やさしい)」「mignon(かわいい)」などがあります。
「C’est trop gentil !」で「あまりにも親切」、つまり「親切すぎる」という意味で、「Merci !(ありがとう!)」とともに使われます。
また、例えば子犬や子猫などを見て「C’est trop mignon !」。
こちらも「あまりにもかわいい」、「かわいすぎる」ということです。
特に女子中高生などの中には、「C’est trop(あまりにも)~」という表現が口ぐせになっている人が多い印象です。
このフレーズを繰り返して感動している彼女たちこそ、「C’est trop mignon !(かわいすぎる!)」と感じているのは、私だけではないと思います。
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