終活の参考に
今回のフレーズは、感動の再会にもなれば、永遠の別れの前のひと言にもなる表現です。
残念ながら、ここでは別れの前のひと言なのですが、このフレーズも含めた王子さまの態度や言動は、自分自身の終活の参考になるシーンでした。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ah ! tu es là…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第26章の終わりの方にあります。
第26章の2枚目の挿絵より4行前にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「Ah !」
「ah !」は間投詞、「ああ!」で、喜びや驚きなどを表します。
ただし今回のフレーズでは喜びや感動ではなく、いないはずの人がいたという、ちょっとした驚きで使われています。
「tu es」
「tu」は2人称代名詞単数です。
2人称代名詞単数と言うと、「あなた」「きみ」「おまえ」などですが、「tu」は親しい間柄で使われます。
複数になると、親しい間柄でも「vous」になります。
「es」は、être動詞の2人称単数の活用形です。
「là」
「là」は「そこ」「あそこ」を表します。
でも今回の使い方は、特に場所を指し示しているわけではありません。
和訳すると、意味を持ちません。
なお、「là」には「a」に右肩下がりのアクセントがついていて、定冠詞の「la」とは異なります。
背景を見てみると
王子さまの旅立ちを前に男性は、見に来るなと言われても、ヘビにかみつかれるかもしれないと心配されても、頑固に王子さまのそばを離れようとはしませんでした。
それでも王子さまは、男性の不意をついて、そばを離れてしまいます。
男性は飛行機の修理をしただけでなく、歩いて一晩中かかる距離を一往復半していたのですから、さすがに疲れて眠った瞬間があったのかもしれません。
王子さまがいなくなったことに気づいた男性は何とか追いつきましたが、その時王子さまが言ったひと言が、今回のフレーズです。
王子さまの思いやりの心
今回のフレーズを和訳するなら、「あ、きみ、いたんだ…」といったところでしょうか。
これを言った後、王子さまは男性の手を取ったのですが、これから起こることを目撃することになる男性のことが気がかりで、仕方ない様子です。
このお話しは最初から、かわいい子どものはずなのに、あまり子どもらしくはない王子さまが描かれています。
なかでもこの旅立ちのシーンには、大人であるはずの男性を思いやる、王子さまの言葉が並びます。
生きていれば誰でも、身近な人たちとの別れがやって来るのですが、自分は本当に、この王子さまのように周囲を思いやって旅立てるのか、相手の悲しみが少しでも軽くなるように、笑い声のプレゼントなどのできる、心の余裕が持てるのかと、考えさせられるシーンです。
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