132 不定冠詞の変わりダネ! Pour d’autres elles ne sont rien que de petites lumières.

その他(王子さま)

よく見る特殊な例 

今回のフレーズは、前回(第131回)扱ったフレーズの直前にあります。 

前回省略した詳細背景は今回ご紹介しますが、重複する語句の詳細は、前回をご覧ください。 

なお今回は、不定冠詞の特殊な例をご紹介します。 

特殊とはいえ、けっこうお目にかかるので、ぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Pour d’autres elles ne sont rien que de petites lumières.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第26章の後半に差しかかったところにあります。 

第26章の1枚目と2枚目の挿絵の中ほどより少し後に、語り手の男性が「Que veux-tu dire ?(何が言いたいの?)」と2回繰り返す場面があるのですが、その2回の「Que veux-tu dire ?(何が言いたいの?)」にはさまれた段落の中のフレーズで、王子さまのセリフです。 

「Pour d’autres」 

「pour」は前置詞で、いろいろな意味を持つのですが、「~のために」「~の理由で」「~にとっては」などが代表的です。 

「d’autres」は「de」と、「別の」「他の」を意味する「autre」の複数形「autres」が合わさっています。 

「Pour d’autres」 のここでの意味は「他の何人かにとっては」になるのですが、これについては前回(第131回)でご紹介しています。 

繰り返しを避けるため、ここでは詳細を省きます。 

「elles ne sont rien」 

「elles」は3人称代名詞複数で、「彼女たちは」「それらは」という意味です。 

「ne ~ rien」は、「何も~ない」を表します。 

「sont」は動詞êtreの3人称複数の活用形です。 

「que」 

「que」は疑問詞や感嘆詞、関係代名詞や接続詞になるのですが、今回のフレーズでは「?」や「!」がないので、関係代名詞か接続詞になります。 

関係代名詞か接続詞かを見分けるには、「que」の後の部分に小さなフレーズの節を見ます。 

関係代名詞なら、節の中の小さなフレーズに足りないものがあるのですが、接続詞なら、節の中は一つの文章として完結していて、足りないものはありません。 

今回のフレーズでは節の中に動詞がなく、完結していないので、この「que」は関係代名詞です。 

「de petites lumières」 

ここでの「de」は少々特殊で意味は持たないのですが、よく使われますので、後半で扱いますね。 

「petites」は、「小さい」「幼い」「かわいい」などの意味の形容詞、「petit」の女性形複数です。 

「lumières」は、「光」「日光」「明かり」「灯火」などの意味の女性名詞「lumière」の複数形です。 

背景を見てみると 

王子さまとの別れがつらい語り手の男性は、王子さまの笑い声を聞くのが好きだと言います。 

そんな男性に、王子さまはその笑い声こそが、別れのプレゼントだと言うのです。 

男性が夜空を見上げれば、見える星のうちのどれかに王子さまが住んでいるので、男性にはすべての星が笑っているように見えるだろうと言います。 

ただしそれを言う前に、王子さまは一般論として、星の見方は人によって違うという話しもしています。 

前回(第131回)と今回のフレーズは、この一般論としてのいろいろな星の見方の例の一部です。 

特殊な不定冠詞 

さて、冒頭でご紹介した「よくお目にかかる特殊な不定冠詞」とは、「de petites lumières」の「de」のことです。 

ここで不定冠詞について振り返り、表にまとめます。 

「まとめる」とは言っても、たったの3つしかないのですが、この中に「de」はありませんよね? 

実はこの「de」は、「des」が変化したものなのです。 

ただしこの変化には、条件があります。 

変化の条件とは? 

その条件とは、「形容詞 + 名詞」の語順になるということです。 

フランス語の形容詞のほとんどは、名詞の後に付くのですが、今回のフレーズにある「petit(小さい/幼い/かわいい)」など一部の形容詞は、名詞の前に付きます。 

このように名詞の前に付く形容詞には、他にも「haut(高い)」「gros(太い/大きい)」などがあります。 

名詞の前に付く形容詞は、数的には少ないものの、今回の「petit」のようによく使われるものが多いので、「des」が「de」に変化するのを見る機会も結構あります。 

なお当然ながら、「des」は複数形に付く不定冠詞なので、そもそも名詞が複数形でない限り、「de」に変化することはありません。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました