感動的な場面ではないけれど…
今回のフレーズのキーワードは「comme」。
同じスペルなのに、いろいろな使い方をされる単語です。
このフレーズでは、感動を表現するときの使い方なのに、まったく感動を伴なわない場面で使われていて、空々しくてむなしく聞こえます。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Comme c’est joli !」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の後半に差しかかる部分にあります。
第4章では、トルコ人の天文学者が同じ内容の発表をしたのに、着ていた服のせいでその発表を無視されたり、評価されたりしたということが、挿絵つきで書かれています。
今回のフレーズは第4章最後の挿絵の次の段落の最終フレーズです。
同じ家のことを言うのに、家の外観の様子を詳しく話しても大人はわからないが、家の値段を言えば、すぐにイメージできるようだという内容の部分です。
「comme」
意味は「なんて~!」「なんと~!」です。
この意味の「comme」は副詞で、フレーズの全体にかかることが多く、感動を表します。
複数の節がある場合を除いては、文の先頭に来るのが普通なので、慣れてしまえばわかりやすいです。
なお、「comme」には他にもいろいろな使い方がありますが、いくつも1度にご紹介すると混乱しそうなので、今回は「感動の comme」と覚えてくださいね!
「c’est」
「c’est」は第3回で詳しく説明しているので、要点だけまとめます。
- 意味は「これ(それ・あれ)は~です」。
- 「ce」と「est」の2つの単語で構成され、「ce + est = c’est」ということ。
- 「ce」は「これ(それ・あれ)」を意味し、「est」は英語の be動詞に相当。
「joli」
「joli」は形容詞で、「きれいな」「かわいい」「すてきな」などという意味です。
人・物の両方に使われます。
このフレーズには名詞がないので、基本の形の「joli」で使われていますが、女性名詞と一緒、もしくは女性相手に使う場合は「jolie」になります。
「joli」が「jolie」になっても、発音は変わりません。
ステキな家・幸福な暮らしとは?
このフレーズの直前に、語り手の男性が「ステキな家」について話しています。
それによると、外壁はピンクで窓にはゼラニウム、屋根には白いハトの置物が飾られているのだとか。
こうした家こそが「Comme c’est joli !」と言われるべきで、値段の高い家ではないのだという趣旨でした。
拝金主義や大人の常識を批判し、幸せとは何かを考えさせられるセリフの数々…。
80年も前に書かれているのに、けっして古臭さを感じないのも不思議ですよね。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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