105 かわいそうなキツネ? Ma vie est monotone.

その他(王子さま)

日本人の誤解? 

今回のフレーズは、うっかりすると誤解を生みそうな表現があります。 

これは作者の意図やミスではなく、理由は日本人の読み手側にありました。 

結論から言うと、キツネはかわいそうではないので、心配しないでくださいね! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Ma vie est monotone.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第21章の前半にあります。 

2枚目の挿絵から6行目にあるフレーズで、キツネのセリフです。 

「ma vie」 

「ma」は所有形容詞、1人称で単数の女性形です。 

「私の」「僕の」「オレの」という意味です。 

話し手の性別ではなく、後に来る名詞の性別によります。 

後に来る名詞が男性単数なら「mon」、男女問わず複数なら「mes」になります。 

「vie」は「生命」「生活」「一生」などを意味する女性名詞です。 

ここでは、「vie」が単数の女性名詞なので、「ma」になっています。 

「est monotone」 

「est」は、動詞êtreの3人称単数の活用形です。 

「monotone」は形容詞で、「単調な」「変化に乏しい」「一本調子の」といった意味です。 

「monotone」にはもともと語尾に「e」がついているので、女性形でも変化しません。 

背景を見てみると 

キツネにとって、王子さまの星はパーフェクトではなかったようです。 

天敵の猟師がいない代わりに、好物のニワトリもいないので、どうやら移住計画はとん挫してしまったようです(そもそも、無理な試みでしょうが!)。 

興奮が冷めたと同時に、元の哲学者風に戻ったキツネは、王子さまとの縁結びの話題にも戻り、日々の自分の暮らしについて語り始めます。 

今回のフレーズは、その第1弾です。 

「monotone」と「モノトーン」 

ところで、今回のフレーズにある単語「monotone」は「単調な」「変化に乏しい」「一本調子の」という意味だとご紹介しました。 

日本語の外来語「モノトーン」とは、かなり違いますよね? 

確かに日本語でも「単調」という意味はあるのですが、「モノトーン」は白・黒・グレーなどの「色彩の単調さ」を表す言葉として使われています。 

でも、フランス語ではこういう使い方をしません。 

かわいそうなキツネ? 

今回のフレーズでも、キツネが「monotone(単調・変化に乏しい)」と言っているのは、自分の生活についてです。 

フランス語の「monotone」の使い方としてはほかに、下手な役者の芝居が「一本調子」だという場合などです。 

日本語の「モノトーン」で今回のフレーズを捉えてしまうと、キツネの生活が「グレー」だと想像してしまい、かなりかわいそうに思われますよね? 

でも、キツネが言いたいのは「毎日変わり映えがしなくて退屈だ」ということ。 

やはり「monotone」と「モノトーン」 は、微妙に違う言葉ですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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