言われなくても笑顔が浮かぶ
好奇心のかたまりのような王子さまが、笑顔になる瞬間のフレーズです。
このフレーズのすぐ後に、王子さまが笑いだす描写があるのですが、それ以前に笑顔になっているのがわかります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Ah ! ça c’est drôle…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第3章の始めの方にあります。
第3章では、王子さまと語り手の男性の会話が続くのですが、会話部分の始めから数えて5つ目のフレーズで、王子さまのセリフです。
「ah !」
「ah !」は間投詞、「ああ!」で、喜びや驚きなどを表します。
フランス語の間投詞には、日本語とかなり違うものが多いのですが、この「ah !」は、同じような感覚で使います。
「ça」
「ça」は、前回(第9回)でご紹介済みなので、要点をまとめますね。
- 代名詞「cela」の話し言葉だが、実際にはかなり広範囲に使われている。
- 「cela」の意味は「あれ」「それ」だが、あまり距離に関係なく使われる。
- 「ça」は感情の起伏を表す場合がある。
「c’est」
「c’est」も第3回で詳しく説明しているので、要点だけまとめます。
- 意味は「これ(それ・あれ)は~です」。
- 「ce」と「est」の2つの単語で構成され、「ce + est = c’est」ということ。
- 「ce」は「これ(それ・あれ)」を意味し、「est」は英語の be動詞に相当。
「drôle」
「drôle」は形容詞で、「こっけいな」「愉快な」や「奇妙な」「変な」などの意味があります。
ふだんの会話の中でもよく使われる言葉です。
このフレーズでの「drôle」は?
背景のところでお話しした通り、このフレーズは王子さまのセリフなのですが、王子さまが「drôle」と言ったのは、語り手の男性が「空から落ちた」ことに対してです。
そして、この1点だけを考えれば、ここでの「drôle」の意味は「奇妙な」もしくは「変な」に相当すると思われます。
このフレーズの後で
けれど、このフレーズの直後に王子さまは、はじけるように笑い、語り手の男性に向かって「君(あなた)も空から来たの?」と言っています。
つまり、ここでの「drôle」は、「こっけい」で「愉快」で「奇妙」で「変」なのではないでしょうか?
翻訳するのはもったいない!
このフレーズを和訳すると、必然的にこの4つの意味から1つだけを選ぶことになります。
もちろん、お話しの筋は伝わりますが、こういう作業が元となって、お話しの雰囲気が変わってしまったり、内容が少し縮小してしまったりするのです。
ぜひフランス語のまま、楽しんでくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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